五松園窯(ごしょうえんがま)

五松園窯は、県道53号大平砥部線を北西に少し入ったところに販売スペースも兼ねた工房を構えます。
1930年以前に創業の老舗窯元で、酒井製陶所から五松園窯と1989年に改名しました。
初代酒井如雲(じょうん)さんから始まり、2代目酒井芳人さん、3代目二宮好史さん・妻の二宮留美子さん、息子の4代目二宮亮太さんと続いており、現在は3代目と4代目の3人で作陶しています。
受注生産を基本としているので、個人からの注文も可能。自分だけの砥部焼が作ってもらえます。



二宮好史さん(写真上)は、愛知県立窯業高等職業訓練校で基礎を学び、別の窯元での修行を経て五松園窯に入りました。平成19年には伝統工芸士に、令和3年には砥部町指定無形文化財「砥部焼」技術保持者に認定されています。



代表作の一つが、写真左の右側の大皿のような、釉象嵌(ゆうぞうがん)という技法で作ったもの。カンナで削ってできたくぼみに釉薬を入れ凹凸のないなめらかな表面にし、色の濃淡によって凹凸があるように見せています。
放射状に外へ広がっていく模様は、好史さん曰く幸せが広がっていくイメージです。
また写真中央のように染付(呉須を使った絵付け)も行います。モチーフは生まれ育った南予の風景。
うどん鉢は、見た目よりも軽く、そのギャップに驚きます。ロクロ手びねりで作るからこそできる技で、日常使いの食器類はできるだけ軽くなるように心がけているのだそうです。



(写真左・中央)留美子さんの手掛けるものはやわらかな画風で猫の絵など女性向けのものが多く、楕円や角丸の平皿、小鉢が好評です。
(写真右)亮太さんはシンプルな作風が特徴です。絵付けを行わずにカンナで削って溝をつけた「しのぎ」技法のもの、中と外の色が異なるマグカップなどを展開し、若い世代に人気があります。
「五松園窯は手作り、手描き、染付にこだわり作陶し、ひとつひとつ違いがあります。オンリーワンのものをぜひ手に取ってもらい、これだ!と思うものを見つけてほしいと思っています。今後も砥部焼の従来のイメージと伝統を守っていきつつ、その中で個性も表していきたいですね」と話してくださいました。
更新日:2024年04月01日