東窯(ひがしがま)

東窯は1988年に開業した窯元で、現在は大東アリンさんを中心に2人の息子さんと一緒に作陶をしています。
工房兼ギャラリーショップは砥部町五本松の陶里ヶ丘の一角にあり、扉を開ける前からわくわくする、おしゃれな外観をしています。
そして、中に入ると棚や食卓に飾られた色とりどりの器や、可愛い壁紙、青々と元気な植物が目に飛び込んで、どこから見ていこうか迷うほどです。



アリンさんの手掛ける器は、ぱっと明るく、クレマチス、バラ、レモン、ハチドリ、タツノオトシゴなど、動植物のモチーフが多め。色鮮やかな中に必ず金色が使われていますが、これは大好きな友禅染から影響を受けているのだそう。和紙染めでふんわりした印象を、金が引き締めているように感じます。
もともとはフィリピンの出身で、青年海外協力隊として焼き物の技術を伝えるためにフィリピンを訪れていた大東直行さんと出会い1982年に来日しました。直行さんは父の代から作陶に携わっていましたが、アリンさんは何もかもが初めてで、長い歴史を持つ砥部町での生活に戸惑うこともあったようです。



夫婦2人での作陶が軌道に乗ってきたころに直行さんは亡くなってしまいましたが、「何百年も歴史をつないできた先人たちを尊敬しながらやっています。私のデザインは感覚的に思いつくものだから伝統とは違うけど、砥部焼の歴史をつないでいけるようにと思ってます」とアリンさん。



砥部焼をセラミックアートとして広めたいとの思いから、最近では植物からインスピレーションを受けたオブジェを作りためているそうです(写真左)。目標の数がたまったら展覧会をされる予定とのことで、今から楽しみです。
色見本を作る工程も、シンプルな磁器片を使うのではなく宇宙人の形を作って色を塗り分けていて、お茶目で明るいアリンさんの、作陶を楽しんでいる様子が伝わりますね(写真中・右)。
器を使ってくれる人への思いを伺うと、「食卓を楽しく、家族団らんしてくれたらいいなと思います。お母さんのごはんの味と一緒に温かい記憶に残るといいなと思います」とお話してくださいました。
更新日:2024年04月01日