障がいへの理解を深めるために

更新日:2024年04月01日

ページID : 1347

共生社会を実現するためには、障がいについて理解を深めることが大切です。
愛媛県で実施している「あいサポート運動」は、障がいのある人が困っていることなどを理解して、障がいのある人に対してちょっとした手助けや配慮を実践することにより、障がいのある人が暮らしやすい地域社会(共生社会)を、地域の人と一緒に作っていく運動です。

障がいの種別と特性

障がいは、一人ひとり様々です。同じ人でも周囲の環境や体調によって異なるため、明確に分類することはできません。また、同じ障がいでも困りごとや求めることが同じというわけではありません。
下の表には、主な障がいの種別と特性について記載しています。

障がいの種別と特性
種別 特性
肢体不自由 車いす使用の人、杖歩行の人、義足の人など
視覚障がい 全盲の人、弱視の人、盲導犬を連れた人など
聴覚・言語障がい 全く聞こえない人、聞こえにくい人、補聴器をつけた人など
知的障がい 初めてのことが苦手な人、コミュニケーションが苦手な人など
発達障がい じっとしているのが苦手な人、読み書きや計算が苦手な人など
精神障がい ストレスに弱い人、対人関係が苦手な人など
内部障がい ペースメーカーを付けた人、オストメイトの人など
難病 治療が困難で慢性の経過をたどる疾病のある人

障がいにより困っていることやコミュニケーション・支援時の基本

肢体不自由

事故による損傷や先天性の疾病などが原因で、上肢(腕や手)・下肢(足)・胴体に欠損やマヒ、筋力低下などが生じ、起立、歩行、物の持ち運びや姿勢の維持などが不自由になります。
障がいの部位や障がいの程度、発症時期は、一人ひとり異なります。

  • 例えば、右足のみ、左半身のみ、あるいは両足、全身等
  • 日常生活動作に困難を感じない人から、立つことや歩行することが困難な人、日常動作の多くに介助を必要とする人、身体にマヒがある人、自分の意思とは関係なく身体が動く不随意運動を伴う人など、症状は様々です。

困っていること

  • 1人での移動(歩行)、入浴、食事等が難しいです。
  • 段差や階段、急な坂道などを移動するのが難しいです。
  • 車いすを使用していると、歩行時よりも広い空間が必要です。
  • マヒや不随意運動を伴う人は、言葉を話すことや文字を記入することが難しい場合があります。
  • 脊髄を損傷された人は、体温調節が困難な場合があります。

コミュニケーション・支援時の基本

  • 目線の高さを合わせてコミュニケーションをとりましょう。
    車いすを使用している人は目線が低くなっています。目線の高さを合わせてコミュニケーションをとる姿勢が大切です。
  • 本人に声をかけ、サポートが必要であるかを確認しましょう。
    同行者や介助者がいる場合でも、本人に声をかけ、必要なことを確認します。
  • 会話が聞き取りにくい時は、わかったふりをせず、一語一語確認しましょう。
  • 言葉がうまく話せない人に対して、子どもに対するような接し方はしないようにしましょう。

視覚障がい

視覚からの情報は、私たちの感覚情報の約80%を占めていると言われていますが、視覚障がいのある人は、視力、視野などの障がいで、文字の読み取りや慣れない場所での移動が困難であるなど、様々な生活のしづらさを感じています。

  • 視覚障がいのある人には、全く見えない人(全盲)と見えにくい人(弱視)がいます。(視覚障がい者のうち、全盲の人は10%程度)
    例)全盲、弱視、視野狭窄(見える範囲が狭い)、色覚異常、緑内障、白内障
  • 白杖を使って移動する人、盲導犬を連れて移動する人、家族やガイドヘルパーなどの手引きにより移動する人がいますが、一方で、外見からはわかりにくい人もいます。

困っていること

  • 視覚情報(絵や文字)だけで示される情報を収集することが困難です。
  • 空間を把握することや、目的地までの距離や経路を確認することが難しく、1人での移動が困難です。
  • 白杖では検知できない障害物は、危険に気がつかないことがあります。(顔の高さの木の枝や根のはり、看板、車のミラー等)

コミュニケーション・支援時の基本

  • 正面または側面から「お手伝いしましょうか」と声をかけ、支援が必要か確認しましょう。
    自分に声をかけているかがわかりません。身分や名前を明かして声をかけると安心が高まります。
  • 情報を言葉や音で伝えます。
    「見える情報」を「聞こえる情報」にすることがポイントです。
  • 「あちら」、「そちら」などの指示語は使わず、「2歩前」や「1時の方向」など具体的に説明しましょう。
  • 金銭の受け渡しは、必ず声を出してお金の種類と金額を確認しましょう。
  • 用事が終わったら、本人または同行者に確認のうえ、本人がわかる位置まで案内し、どの方向を向いているか伝えましょう。
  • 点字ブロックの上に物を置かないでください。

聴覚・言語障がい

聴覚障がいのある人は、音を聞いたり、感じる経路に何らかの障がいがあり、話し言葉を聞き取ったり、周囲の音から状況を判断することが困難な場合があります。言語障がいのある人は、音声器官が十分に機能しないことや、言語をうまく扱えないことで、生活への支障が生じる場面があります。

  • 全く聞こえない人、片耳は聞こえる人、高音が聞こえにくい人、補聴器をつけて聞こえを補っている人など、聞こえ方は人それぞれです。
  • 聴導犬を連れて移動している人もいます。
  • 音が聞こえにくいことで、うまく発音できない障がいを伴っている場合もあります。
  • 失語症とは、脳出血、脳梗塞などによって発症する言語機能の障がいです。

困っていること

  • 外見上で判断することが難しいため、誤解を招くことがあります。
    例)挨拶や声かけをしたのに無視をされたなど
  • 音声やチャイムなどの音に気付かないことがあります。
  • 音声によるコミュニケーションが困難です。
  • 相手がマスクをしている場合など、相手の表情や口元が見えないとコミュニケーションがとりにくい場合があります。

コミュニケーション・支援時の基本

  • 相手の視野に入るようにして声をかけましょう。
    相手の視野に入り、視線を合わせることを心がけます。後ろから声をかけたり、急に触れたりしてはいけません。
  • 相手に触れる際は優しく、ゆっくりを心がけてください。
  • 音声情報は、手話や文字、図、パネル等の見てわかる方法で伝えましょう。
    最初に、情報提供、コミュニケーションの方法(口話や筆談、手話、身振り、空書等)を確認してから、対応しましょう。
  • 筆談をする際は、具体的に、大切なところは線を引き、わかりやすい言葉で書きましょう。

知的障害

先天的または発達期に知的機能の障がいが現れ、複雑な事柄や抽象的な概念を理解することが困難であるなど、様々な生活のしづらさを抱えています。

  • 外見上で判断することが難しく、誤解を招くことがあります。
  • 人に尋ねたり自分の意見を言うのが苦手な人もいます。
  • 漢字の読み書きや計算が苦手です。
  • ひとつの行動に執着したり、同じ質問を繰り返したり、質問に対する答えがオウム返しになることがあります。

困っていること

  • 複雑な説明や抽象的な概念を理解しにくいことがあります。
  • 一度にたくさんのことを聞くと、混乱してしまうことがあります。
  • 周囲を困らせようとしているわけではありません。
  • 周囲で起こっていることが理解できず、混乱することがあります。

コミュニケーション・支援時の基本

  • ゆっくり簡単な言葉で話しかけてください。
    短い文章で「ゆっくり」「ていねいに」「繰り返し」説明することを心がけ、内容が理解されているか確認しながら話をします。
  • 具体的にわかりやすく説明してください。
    案内板や説明資料には、漢字にふりがなをつけるとともに、抽象的な言葉は避け、絵や図を使って具体的に説明しましょう。
  • 成人の場合は、子ども扱いしないでください。
  • おだやかな口調で声をかけてください。
    社会的なルールを理解できず、時に奇異な行動を起こすことがありますが、「どうしましたか?」「何かお手伝いしましょうか?」とおだやかな口調で声をかけます。
  • 理解ができたかどうかの確認が必要です。
  • 支援者等同伴者の意見だけでなく、本人に対する意思確認が必要です。
  • パニックになっている時は、けが等をしないように危険な場所や物から遠ざけ、やさしく声をかけて、安全な場所に誘導しましょう。

発達障がい

「発達障害者支援法」では、「自閉症、アスペルガー症候群その他広汎性発達障害、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。

  • 自閉症とは、3歳ぐらいまでに現れ、他人との社会的関係の形成の困難さ、言葉の発達の遅れ、興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障がいです。
  • アスペルガー症候群とは、対人関係の障がいであり、限定した常同的な興味、行動及び活動をするという特徴は自閉症と共通していますが、明らかな認知の発達、言語発達の遅れは伴いません。
  • 学習障害とは、全般的な知的発達に遅れはないが、読む、書く、計算するなどの特定の能力を学んだり、行ったりすることに著しい困難がある状態です。
  • 注意欠陥多動性障害とは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び衝動性、多動性を特徴とする行動障がいです。

困っていること

  • こだわりが強く、急に予定を変更することなどが難しい人がいます。
  • 人の話を聞きながら、メモを取ることが苦手です。
  • 長時間座っていることやじっとしていることが苦手で、そわそわと休みなく動いてしまう場合があります。
  • 大切な予定を忘れたり、大切な書類を置き忘れることがあります。

コミュニケーション・支援時の基本

  • ゆっくりと、具体的に話しかけてください。
    十分な時間を確保して話を聞き、「ゆっくり」「ていねいに」「繰り返し」おだやかな口調で声をかけてください。
  • 自分の考えをうまく伝えることが苦手です。
    「早く」「まだ?」などと急かさず、じっくりと聞きましょう。
  • 安心できる落ち着いた静かな環境を整えてください。
    聴覚過敏の人は、雑音や大きな声での会話が苦手です。
  • 相手に内容が伝わっているか確認します。
    話した内容が伝わっていないと感じた時は、言い方を変えてみましょう。
    大切な情報は、メモに書いて残すことも効果的です。

精神障がい

原因は様々ですが、統合失調症、うつ病などの精神疾患により、「ストレスに弱い」、「対人関係が苦手」など、様々な生活のしづらさを抱えています。

  • 主な精神疾患として、統合失調症、気分障害(うつ病、躁うつ病(双極性障害))、てんかん、不安障害などがあります。
  • 適切な治療・服薬と周囲の配慮があれば、症状をコントロールできることが多いため、大半の人は地域で安定した生活を送っています。
  • 症状が変わりやすく、日によってできることと、できないことがあります。
  • 症状が深刻になると、判断や行動のコントロールが難しくなります。

困っていること

  • 薬を服用しているため、のどが渇きやすく、疲れやすい人がいます。
  • 言いたいことをうまく伝えられないことがあります。
  • 警戒心が強く、人と話すことが苦手な人もいます。
  • 精神障がいに対する社会の無理解から、病気のことを他人に知られたくないと思っている人も多いです。また、本人だけでなく、その家族も、無理解による「社会的偏見」に苦しめられています。

コミュニケーション・支援時の基本

  • 困っていることに気がついたら、できるだけ早く声をかけてください。
    「どうしたのかな」とじっと見ていると、「自分を非難している」と感じてしまうことがあります。
  • 相談された時は、自分の意見は控えめにして、なるべく聞くことを心がけてください。
  • 本人の気持ちとペースを大切にしてください。
    周囲からの期待や過剰な励ましはストレスになることがあります。本人のペースに合わせた働きかけが大切です。
  • 「ゆっくり」「ていねいに」「繰り返し」説明し、不安を感じさせないような穏やかな対応をしてください。

内部障がい

内臓機能の異常や喪失のため、継続的な医療的ケアが必要であったり、体力がなく疲れやすいなど、様々な生活のしづらさを抱えています。身体障害者福祉法では、心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこうまたは直腸、小腸、免疫及び肝臓の7種類の機能障がいが定められています。

内臓の機能に応じて、ペースメーカーや人工呼吸器を使用している人、オストメイト(人工肛門や人工膀胱を保有している人)、定期的に人工透析を受けている人などがいます。

困っていること

  • 障がいのある臓器だけでなく、全身の状態が低下しているため、体力がなく、疲れやすい状態にあり、重たい荷物を持ったり、長時間の移動などの身体的負担を伴う行動が制限される場合があります。
  • 外見上では障がいがあることに気づかれにくく、不便を感じることがあります。
    例)優先席に座っていると、周りの人から誤解されるなど
  • オストメイトの場合、専用のトイレを必要とするため、通常のトイレでは不便に感じることがあります。
  • 植込み型ペースメーカー等の医療機器は、携帯電話等の電波利用機器の電波の影響を受けると誤作動を生じさせる場合があるため、配慮が必要です。

コミュニケーション・支援時の基本

  • 内部障がいがあるとわかるマーク(ヘルプマークなど)をつけている人への配慮をお願いします。
  • 本人からの配慮の申し出があれば、症状、体調に負担をかけないよう対応しましょう。
  • ベンチなど楽な姿勢が取れるところに案内して話をしましょう。
    立ったまま話をすることが負担となることがあります。
  • 医療機器の使用に配慮しましょう。
    人工呼吸器やインスリン注入ポンプ、酸素ボンベなどを使用したり、携行したりする人がいます。本人に配慮事項を確認して対応しましょう。

難病

原因不明、治療方針が未確定であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病です。経過が慢性にわたるため、本人や家族の経済的・身体的・精神的負担が大きい疾病です。また、合併症、薬剤による副作用や二次障害がみられることもあり、生活の質が損なわれやすく、様々な生活のしづらさを抱えています。

  • 血液系、免疫系、神経・筋・感覚系など、多岐にわたります。
  • 体調の変化が大きく、1日の中でも症状に変化があります。
  • 症状によって肢体や言語などの機能障がいがある人もいます。
  • 令和3年11月現在、医療費助成の対象疾病は338疾病となり、障害福祉サービスの支給対象となる疾病は366疾病となります。

困っていること

  • 疲れやすく、重いものを持つことができないなど、疾病により特徴があります。
  • 午前中は体調が悪くても午後には快復するなど、1日の中での体調の変動があり、突然動けなくなることがあります。
  • 外見上では疾病があることに気づかれにくく、不便を感じることがあります。
    例)優先席に座っていると、周りの人から誤解されるなど

コミュニケーション・支援時の基本

  • 病気について理解してください。
    症状や体調に応じて、対応してほしい内容を本人に確認しながら、できるだけ負担をかけないよう心がけてください。
  • 困っている様子を見かけたら、ゆっくり声をかけます。
    声をかけ、相手の困りごとやニーズを確認します。
  • 本人からの配慮の申し出があれば、症状、体調に負担をかけないよう対応しましょう。

盲ろう

視覚と聴覚の両方に障がいがある状態です。見え方・聴こえ方は人によって様々ですが、大きく4つに分けられます。

  1. 全盲ろう:全く見えず聴こえない状態
  2. 弱視ろう:見えにくく全く聴こえない状態
  3. 盲難聴:全く見えず聴こえにくい状態
  4. 弱視難聴:見えにくく聴こえにくい状態

障がいの状態や盲ろうになるまでに身につけた技能によって、盲ろう者のコミュニケーション方法は人それぞれです。(触手話、指点字、手書き文字等)

重症心身障がい

重度の知的障がいと重度の肢体不自由が重複している障がいで、日常の様々な場面で介助者による支援が必要です。

移動や食事、着替え、洗面、トイレ、入浴などを自身で行うことが困難です。

医療的ケア児:新生児集中治療室等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な障がい児で、重症心身障がいがある場合も多くあります。

高次脳機能障害

交通事故や病気により脳にダメージを受けることで、身体の障がいとは別に、記憶や注意、言語などの脳機能の一部に障がいが起き、様々な支障が生じます。

  • 身体に障がいが残らないことも多く、外見ではわかりにくい障がいです。
  • 主な症状は記憶障害や、ミスが多くなる等の注意障害、自分で計画を立てて物事を実行することができない等の遂行機能障害、対人関係がうまく作れない等の社会的行動障害等があり、障がいと気がつきにくいものもあります。
  • 本人も障がいに気がついていないことがあります。

障がい以外の場合

高齢の人、妊産婦・乳幼児連れの人、外国の人など、障がいがなくとも配慮を必要としている人がいます。障がいの有無にかかわらず、その人が必要としている支援を行っていただくようお願いします。

出典・リンク

この記事に関するお問い合わせ先

介護福祉課 障がい福祉係
〒791-2195 愛媛県伊予郡砥部町宮内1392番地
電話番号:089-962-7255
ファックス:089-962-6820

メールフォームによるお問い合わせ