雲石窯(うんせきがま)

雲石窯は1916年に山田善吉さんにより開業した窯元です。
2代目の正男さんは戦後、茶道具を中心に製作していて、雲石窯の屋号もこの時代に名付けられました。
3代目善弘さんは、戦後華道の投げ入れ花瓶を中心に製作し、2000年ごろまでは花器を多く作っていました。
現在は4代目となり、山田雅之さん・中元ひろみさんご夫婦で、日常使いの器を中心に製作しています。
工房は砥部焼伝統産業会館から220メートルほど西に位置し、駐車場は道路向いにあります。たいていの方が迷わず来られますが、迷うのは入口。横に長い建物で入口がたくさんあり、前でうろうろされる方も多いとか。中に入るとかわいい販売コーナーが設けられています。



雲石窯の絵付けは呉須が少し濃い、「濃藍(こあい)」のシリーズが代表的です。
草花や丸などのシンプルな文様が多く、伝統的なつけたて技法で描かれています。



最近人気なのは左の写真の文様で、その名も「しかく・シカク」。他にも「TT文」や「タテヨコ」、「豆絞り」など、わかりやすく、見た人を笑顔にするようなネーミングの器たちが並びます。



また中央の写真は昔の民芸調を取り入れたシリーズです。鉄が混じりおおらかな印象で、北欧っぽさを感じると言われる方もいるそうです。「和食器として作られていますが、和洋中を選ばずどんな料理にも合わせられます。洋食器は洋食にしか合わないのに不思議ですよね」と雅之さん。
その他には白磁のシリーズもあります。原料の良さを見せたいと、絵付けはされていません。陶石の大産地である天草陶石のものとは若干白みが劣りますが、黄色みがある分、磁器と陶器の中間のように柔らかい印象に仕上がるのだそうです。
「砥部は手描きを大事にしてきた産地です。同じように描かれた絵柄でも、やっぱり少しずつ違います。そういう器を手に取って自分の好きなものを選んでもらえるのが面白いところです。昔は家族分のお皿を何客といってそろえた時代でしたが、今はそれぞれが好きな器で食べられる時代です。砥部焼は丈夫なので割れることも少ないです。好きなものを選んで、小さい時からどんどん使ってもらいたいです」とおっしゃっていました。
更新日:2024年04月01日