陽貴窯(ようきがま)

陽貴窯は田中貴美子さんによって開かれた窯元で、工房は東温市の重信川樋口公園から北の方向に車で5分ほど行ったところにあります。
こちらでは販売もしていますが、お店は不定休ですので、あらかじめ連絡をして道順を確かめておくのがおすすめです。
工房に着くとまず目に入るのは木製の立派な看板。こちらは篆刻(てんこく)や書道を趣味としていた義理の弟さん(雅号は寿山)によるもので、窯の名付け親でもあるそうです。


田中さんはもともと絵を教える仕事をされていましたが、1990年にウメノ青興陶園に入社し、15年勤めた後、2005年に陽貴窯を開窯しました。
ウメノ青興陶園での年月と、ロクロ、陶画教室等で教わったことが、今の作陶に活かされています。
「ただ、窯焼きを1人でやるなんてことはなかったから、最初のうちはすごく怖かったですよ。最初は窯元の先輩が教えに来てくださって一緒に火を入れました。2回目からは1人でしていますけど、季節や土の具合によっても火の入り方が違うし、未だに慣れません。思った以上にかかっていた時間が、無駄な動きがなくなって少し安定してできるようにはなりました」と田中さん。

当時描かれていた油絵も見せていただきました。
「キャンバスとはやっぱり違いますよね。素地がザラザラしているから筆がすぐぼさぼさになるし、描き直しも難しい。今のような絵付けになるのにも時間の経過がありましたし、これからも変化を続けていくと思います」とおっしゃいます。


田中さんの絵付けはとても緻密な模様が特徴で、蛸唐草や菊唐草、鳥更紗など、自然がモチーフとなっています。
割り付けをする程度で下絵は描かず、どんどん描き進めていかれますが、それでも1つの器の絵付けには5から6時間もかかるものもあるそうです。

呉須による絵付けも、調合を変えた数種類の呉須を用いて、模様に合わせて濃い薄いなど使い分けているそうです。日常使いの器がメインで、オーダーにも応じています。
田中さんの器をぜひお手に取って、細かく丁寧な模様をゆっくり眺めてみてください。
和食・洋食・中華、なんにでも合いますよ。
基本情報
- 住所:〒791-0202愛媛県東温市樋口乙96-25
- 電話番号:089-964-7421
- 営業時間:9時から17時まで
- 定休日:不定休
- 駐車スペース:3台
- イベント:秋の砥部焼まつりなど
- 支払い:現金
更新日:2024年04月01日