きよし窯(きよしがま)

きよし窯は1957年に山田きよしさんにより開業した窯元で、当時は茶器を主に手掛けていました。
現在は2代目夫婦である公夫さん、ひろみさん他数名のスタッフにより、日常使いの器や花器、手洗鉢、陶雛などを作られています。
工房兼ギャラリーショップは砥部町五本松の、陶芸創作館から600メートルほど南西に進んだあたりにあります。
1階が主に工房で、2021年に公開された砥部焼の陶工家族を描いた映画「未来へのかたち」のロケ地にもなっているため、懐かしさを覚える方もいらっしゃると思います。
らせん階段を上った2階がギャラリーショップです。



公夫さんは、初代きよしさんの希望もあって、中学校を卒業すると親元を離れ有田の窯業を学べる高校へ進学。
短期大学や窯業試験場での学びを経て、ロクロやヘラ使いを習得しました。
砥部町に戻ってからは、有田の技法と、初代きよしさんから受け継いだ砥部焼の技法とを組み合わせ、使いやすさと美術性の追求を続けられ、平成9年には国の伝統工芸士に認定されています。



ひろみさんは結婚を機に1981年から染付を始めました。
学校で専攻していたグラフィックデザインは、デザインや構図に今も生かされているそうです。
特に、従来の砥部焼らしい作風のものばかりの時代に、藍色以外のいろいろな色やかわいらしいデザインなどを取り入れた器や陶板を手掛けられました。
最初は「そんなものを作っていいのか」という空気が他の窯元の間でもありましたが、継続していくにつれ、お客さまからの「今までの砥部焼と違ってかわいい」や「色が明るくていい」といった反応や、砥部焼の作り手からも「いろんなことしていいんだ」という雰囲気が生まれ、現在見られる多種多様な砥部焼の礎をなしました。
「今では丈夫で長持ちっていうイメージよりもかわいいと言ってくれることの方が多くなって、女の人も第一線で砥部焼づくりに関われる時代になって嬉しい」とひろみさん。
平成25年には「とべりて」という窯元を超えた女性作家グループを作成、平成26年には砥部町無形文化財(加飾部門)に、令和3年には愛媛県指定無形文化財に認定されています。



「選ぶ楽しみ、使う楽しみを最大限に感じ取れるような器を提供したい」とギャラリーショップには色とりどり器が並びます。
ぜひ手に取ってご覧ください。
更新日:2024年04月01日