八瑞窯(はちずいがま)
八瑞窯は、1970年に白潟八洲彦さんが開いた窯元です。
工房は砥部町五本松の、「村の駅五本松」の看板から右手に入った細い道の先にあります。
2021年に公開された映画「未来へのかたち」は砥部焼の陶工家族の物語で、こちらがロケ地にもなっていて、映画を見た方は懐かしさを覚える方もいらっしゃることと思います。
白潟さんは高校在学中から五松園窯で修行をし、卒業後も続け、1968年には青年海外協力隊としてフィリピンへ赴き、タイやアフガニスタンでも作陶の指導をし、帰国後、1970年に自分の窯を持ちました。



「大物作りの白潟さん」として有名ですが、細かな作業も得意とされていて、砥部焼伝統産業会館では、白潟さんによる大作「生命の蒼い星」の横に、世界一小さい壺と制作途中の様子が飾られています。
現在のお年は80歳を超え、お皿やカップ&ソーサーなどの器、花器、干支の置物など、白磁で凛としたものをたくさん手掛けてこられました。平成21年には厚生労働大臣から「現代の名工」として表彰され、平成25年には黄綬褒章を受章、令和2年には愛媛県指定無形文化財に登録されています。



そんな白潟さんが目標として挑戦を続けているのが直径1メートルを超える大物です(写真左・中央。写真右は砥部焼伝統産業会館に展示されている白潟さんによる作品で、わずかに1メートルに満たない)。



スイスにある国境のない地球儀やアメリカにある地球儀型の花瓶、松山空港のモニュメントなど、大物作りの経験を経て「砥部で採れる土の良さのおかげ。恵まれた原料が地元に豊富にあるし、地元の鉄工所にお願いすると道具の改良をしてもらえるし…こういう周囲の力があってこそ陶工が砥部焼を作ってこられたんだね」とおっしゃいます。

愛媛県窯業技術センターで、自身が採った石を用いて粒子のサイズや石を砕く時間を調整しながら土を作ったり、砥部焼陶芸塾で塾生と土作りを体験したりされているそうです。
「江戸時代から続く砥部焼の歴史がこの先も続いていくよう、原料を守っていきたい」と、目の前の作陶を超えた、もっと先の未来を見つめている印象でした。
基本情報
- 住所:〒791-2133愛媛県伊予郡砥部町五本松156番地1
- 電話番号:089-962-2553
- 営業時間:11時から18時まで
- 定休日:不定休
- 駐車スペース:2台
更新日:2024年04月01日