風山舎(ふうざんしゃ)

風山舎は2002年に渡部俊治さんが54歳のときに開きました。
もともと別の仕事をしていて、趣味で油絵や墨絵を描いていた渡部さん。ロクロ上で回る土が「生き物みたいでいいなぁ」とずっと思っていたことから、47歳から砥部焼陶芸館の陶芸教室に通い始めます。
するとどんどんのめり込んでいき、現在の場所が窯元を開くという条件で分譲に出たことをきっかけに、2000年に家族で引っ越して来られます。
翌年には会社を辞め、焼き物作りに専念して20数年。
「あっという間の20年。やってよかったなぁと思うよ」とおっしゃいます。
ギャラリーショップ兼工房は五本松の陶里ヶ丘の一角に構えています。木と土壁のぬくもりを感じる造りで、お庭の植物も青々と、まるで旅館のようなたたずまいです。


渡部さんは、器や置物、陶板を主に手がけておられ、磁器の砥部焼と、土物の陶器を半々で作っています。この2つは扱いが異なり、製作の効率は悪いですが、「砥部焼は絵を描くのが好きだから、土物は粉引き(こひき)( 黒い土に白い化粧土をかけて焼くもの)が好きだから」と続けておられます。



砥部焼の方は自然が題材で、陶板も椿やつわぶきなど、和風でどこか懐かしく心温まるような絵付けです。土物の方は、窯焼きのときに狙った通りにできるか自然の作用によるところも多いですが、グレーのようなピンクのような淡い色が優しい印象です。



渡部さんは「ゆっくり歩もう」という気持ちで作陶をしていることから、かたつむりを風山舎のトレードマークにしています。ぜひこちらに来て、器を手に取って土の感じを確かめたり絵を眺めたりして、ゆったりとした時間を過ごしてみてください。
更新日:2024年04月01日