清月窯(せいげつがま)

清月窯は1953年に新田清夫さんによって開業した窯元です。
現在は、清夫さんの孫にあたる3代目の野村和孝さん、千春さんご夫婦が跡を継いでいます。
成型も絵付けも2人でされていて、器や手洗い鉢、表札など、オーダーも受けています。
ギャラリー兼ショップを備えた工房は、坂村真民記念館のすぐ隣にあり、大きな窓と無垢の木でできたおしゃれな建物で、たくさんの器が並んでいるのが外からでも見えるようになっています。



こちらがご主人、和孝さんの器です。
和孝さんは2000年から、2代目で叔父にあたる新田邦治さんに作陶を学ばれました。
ぽってりとした器に、花モチーフや網目模様などの優しい絵柄で、上品な印象です。こちらは、ロクロで成形した後、まだ生地が柔らかいうちにロクロで回しながらカンナを弾くように連続して当てて、表面に細かな凸凹をつける「飛び鉋(かんな)」という技法を用いているのが特徴です。この凸凹があることで、絵付けの線ににじみなどが生じ、温かみを感じさせます。最後に上釉をかけるので、見た目とは違って凸凹はほとんどなく、滑らかになります。
また、がらっと印象の変わった黒の艶消し釉のシリーズも手掛けていて、平皿やフリーカップの他にも種類を展開していく予定です。


こちらが奥さま千春さんの器や小物です。
千春さんは砥部焼陶芸塾9期生で、2010年から作陶を学ばれました。2019年からは清月窯で自身のブランドである「トリネコ屋」を立ち上げて活動されています。
千春さんの器は「砥部焼らしい」とは少し違います。ネコもトリも「砥部のおいさんシリーズ」もとても自由で「猫ってこんな顔するよね」「うちのお父さんと同じポーズで寝てる!」と見る人を面白くさせるような絵柄が特徴です。器の中の動物も人も、誰一人にっこりしているわけでもないのになぜかとてもかわいい、そんな印象です。
「おしゃべりは得意じゃないけど、器を見て笑ってくれているお客さんの様子を見るのが好きなんです」と千春さん。
砥部のおいさんは和孝さんがモデル。
盛り付けた食事によっては、寝ている和孝さんが泳いでいるように見えるのも面白いですよ。
まったく違ったお2人の器を見にいらしてください。
更新日:2024年04月01日